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【高校生向け】バイト代は「貯金」or「投資」?ゼロから始める資産形成入門

高校生がお小遣いやバイト代を「貯金」すべきか「投資」に回すべきか、迷いますよね。

この記事では、貯金と投資それぞれのメリット・デメリットを分かりやすく解説し、どちらが自分に合っているか判断するヒントを提供します。

将来のためのお金の使い方を考える上で、必ずしもどちらか一方を選ぶ必要はなく、それぞれの特徴を理解し、目的やリスクに合わせて使い分けることが大切です。自分らしいお金との付き合い方を見つける第一歩にしましょう。

1. はじめに|なぜ今「資産形成」を学ぶべきか

テスト期間に参考書を買うお金が足りず、あわててゲームを売った経験はありませんか。

高校生はバイト代やお小遣いという“限られた資金”でやりくりするからこそ、お金の扱い方を学ぶベストタイミングです。しかも2022年に成年年齢が18歳へ引き下げられ、クレジット契約や投資口座の開設も自己判断で可能になりました。

そこで本記事では、
・貯金:安全にお金を守る方法
・投資:お金を増やす可能性を高める方法

この2つを比較し、あなたに合った組み合わせ方を紹介します。

先に全体像!貯金と投資の違いを3軸で比較

比較軸貯金投資
安全性高い(元本保証※1)低〜中(元本保証なし)
収益性低い(0.001%前後)中〜高(年▲5〜+10%程度の変動)
流動性高い(即日引き出し可能)中(売却に1〜3営業日)

 ※1 預金保険制度により1,000万円とその利息まで保護。

1.1 貯金と投資、どっちがいい?今、高校生が向き合うお金の疑問

ニュースやSNSで「投資」という言葉を目にする機会が増え、「貯金だけじゃダメなのかな?」と感じたり、「投資って難しそうだし、リスクがあるって聞くけど…」とためらったり。

一方で、コツコツ貯める「貯金」は安心感があるけれど、「本当にこれで将来大丈夫なのかな?」と疑問に思うこともあるでしょう。

「貯金」と「投資」それぞれにメリットとデメリットがあります。

どちらか一方が絶対的に正しいというわけではありません。

大切なのはそれぞれの特徴を理解し、自分の目的や状況に合わせて、最適な方法を選択したり組み合わせたりすることです。

この記事では、貯金と投資の基本から、自分に合った選択をするためのヒントまで、分かりやすく解説していきます。

1.2 なぜ大切?将来のための金融リテラシーと資産形成の第一歩

「金融リテラシー」という言葉を聞いたことがありますか?これは、お金に関する知識や判断力のことです。

生きていく上で、お金は切っても切り離せない存在。進学、就職、結婚、住宅購入、そして老後…人生の様々な場面でお金に関する選択が必要になります。

金融リテラシーを身につけることは、

  • より良い選択をするための判断基準を持つこと
  • お金に関するトラブルから自分を守ること
  • 将来の夢や目標を実現するための計画を立てること

こういったことににつながります。高校生のうちから金融リテラシーを高め、将来に向けた「資産形成」の考え方を学ぶことは、いわば人生を豊かにするための準備運動のようなもの。
早いうちから意識することで、将来の選択肢が大きく広がります。

金融庁も、高校生を含む若い世代に向けた金融教育の重要性を説いています。詳しくは、金融庁のウェブサイトにある高校生向けの教材などを参考にしてみましょう。

1.3 バイト代やお小遣い、18歳成人…高校生を取り巻くお金のリアル

高校生になると、アルバイトを始めたり、お小遣いの額が増えたりして、自分で管理するお金が増える人も多いでしょう。

限られた収入の中で、欲しいものを買ったり、友達と遊んだり、将来のために貯めたり…上手なやりくりを考える機会が増えます。

さらに、2022年4月から成年年齢が18歳に引き下げられました。

これにより、高校生であっても18歳になれば、親の同意なしに様々な契約(例えば、クレジットカードを作る、ローンを組む、スマートフォンを契約するなど)ができるようになりました。

これは、自由が増える一方で、お金に関する責任も自分で負うことを意味します。

表:18歳成人で変わること(お金に関わることの例)
できるようになること(親の同意不要)注意点
クレジットカードの作成使いすぎに注意。支払いが遅れると信用情報に影響が出る可能性がある。
ローン契約(自動車、教育など)返済計画をしっかり立てる必要がある。安易な借金は避ける。
携帯電話・スマートフォンの契約料金プランや契約内容をよく理解する。
一人暮らしの部屋を借りる契約契約内容(家賃、敷金、礼金、更新料など)をしっかり確認する。
証券口座の開設(一部金融機関)投資にはリスクが伴うことを理解する。

このように、高校生を取り巻くお金の環境は、以前よりも複雑になっています。

だからこそ、今からお金について学び、自分なりの考えを持つことが非常に重要なのです。

成年年齢の引き下げに関する詳しい情報は、政府広報オンラインなどで確認できます。

参考:政府広報オンライン「18歳から“大人”に!成年年齢引下げで変わること、変わらないこと。

次の章からは、まず「貯金」の基本について詳しく見ていきましょう。

2. まずは基本から!高校生のための「貯金」入門

「投資も気になるけど、まずは貯金からかな?」と考えている高校生も多いでしょう。

ここでは、貯金の基本について、高校生のみなさんに分かりやすく解説します。貯金は、将来の夢や目標を叶えるための大切な第一歩です。

2.1 貯金ってどんなもの?高校生にとっての意味

貯金とは、シンプルに言えば「お金を使わずに、将来のために取っておくこと」です。

みなさんが毎月もらうお小遣いや、アルバイトで稼いだお金の一部を使わずに、銀行などに預けたり、貯金箱に入れたりすることが貯金にあたります。

高校生にとって貯金は、次のような意味を持ちます。

  • 目標達成のため:欲しいゲームや洋服、スマートフォンを買うため、好きなアーティストのライブに行くためなど、具体的な目標のためにお金を貯めることができます。
  • 将来への備え:大学や専門学校への進学費用、留学費用、運転免許の取得費用など、将来必要になる大きなお金に備えることができます。
  • 万が一の時のため:急な出費が必要になった時や、困った時のための「お守り」のような役割も果たします。
  • お金を管理する練習:計画的にお金を貯める経験を通して、予算管理能力や計画性を身につけることができます。これは大人になってからも役立つ大切なスキルです。

貯金は、特別な知識がなくても、少額から誰でもすぐに始められるのが魅力です。

まずは、毎月決まった額を貯金するなど、自分にできる範囲で始めてみましょう。

2.2 貯金のメリット:安心感と目標達成への近道(安全性・流動性)

貯金には、主に次のようなメリットがあります。

メリット内容高校生にとってのポイント
安全性銀行などに預けたお金は、基本的に元本(預けた金額)が減る心配がほとんどありません。日本の銀行に預けた預金は預金保険制度により、万が一破綻しても一定額まで保護されます。(※外貨預金など一部対象外の預金もあります)大切なお小遣いやバイト代を、リスクなく安全に保管できます。「減ったらどうしよう」という心配が少ないのは大きな安心材料です。
金融庁:預金保険制度
流動性普通預金などに預けているお金は、ATMや窓口でいつでも必要な時に引き出して使うことができます急に友達と遊びに行くことになったり、欲しいものを見つけたりした時に、すぐにお金を使えるので便利です。
目標達成への貢献貯金額が目に見えて増えていくことで、目標達成へのモチベーションを維持しやすくなります。「あと〇〇円貯めたら、欲しかったものが買える!」という具体的な目標があれば、貯金が楽しくなります。達成感を味わえるのも魅力です。
計画性の習得目標額と期間を決めて貯金をすることで、計画的にお金を使う習慣が身につきます。将来、一人暮らしをしたり、大きなお金が必要になったりした時に役立つ金銭感覚や管理能力を養うことができます。

このように、貯金は「お金を安全に保管し、いつでも使えるようにしておきたい」「着実に目標を達成したい」と考える高校生にとって、非常に有効な手段と言えるでしょう。

2.3 貯金のデメリット:お金が増えにくいって本当?(収益性の低さ・インフレリスク)

メリットの多い貯金ですが、一方でデメリットや注意点もあります。

デメリット内容高校生への影響
収益性の低さ現在の日本では、銀行にお金を預けてもらえる利息(金利)は非常に低い水準です。普通預金の場合、年間で得られる利息はごくわずかです。貯金しているだけでは、お金がほとんど増えないということを理解しておく必要があります。「お金を増やしたい」という目的にはあまり向いていません。
インフレリスクインフレとは、モノやサービスの値段(物価)が継続的に上がっていくことです。物価が上がると、相対的にお金の価値は下がってしまいます例えば、今100円で買えるお菓子が、数年後に120円に値上がりしていたら、同じ100円を持っていても、以前と同じお菓子は買えなくなります。貯金しているお金の額面は減らなくても、買えるものの量が減ってしまう(実質的な価値が目減りする)可能性があるのです。
日本銀行:教えて!にちぎん「物価が上がると、お金の価値は下がるの?」

特に、大学進学費用など、数年後や十数年後に必要となる長期的な目標のためのお金については、インフレによって価値が目減りするリスクも考慮に入れる必要があります。

貯金は安全性が高い反面、お金を積極的に増やす力は弱いという点を覚えておきましょう。

3. 未来へのステップ?高校生のための「投資」入門

貯金でお金を「守る」ことの大切さを学んだら、次はお金を「増やす」可能性のある選択肢、「投資」について見ていきましょう。

将来の夢や目標を叶えるための一つの方法として、投資の基本を知っておくことはとても重要です。

3.1 投資って何だろう?高校生が知っておくべきこと

投資とは、将来の利益(リターン)を期待して、自分のお金を株式や投資信託などの金融商品に投じることです。

「お金に働いてもらう」とイメージすると分かりやすいかもしれません。貯金が銀行にお金を預けて利息をもらうのに対し、投資は値上がり益や配当金などを得ることを目指します。

主な投資対象には、以下のようなものがあります。

  • 株式投資:企業の株式(株)を購入し、その企業のオーナーの一部になることです。株価が上がった時に売却して利益を得たり(キャピタルゲイン)、企業が利益の一部を株主に分配する配当金(インカムゲイン)を受け取ったりすることを目指します。
  • 投資信託:多くの投資家から集めたお金を、運用の専門家(ファンドマネージャー)が株式や債券などに分散して投資してくれる商品です。少額から始めやすく、専門家が運用してくれるため、初心者にも人気があります。
  • 債券投資:国や企業などが資金を調達するために発行する「借用証書」のようなものです。満期まで保有すれば、定期的にお金(利子)を受け取れ、満期時には元本が戻ってくるのが一般的ですが、発行元の信用状況によっては元本割れのリスクもあります。

ここで最も大切なことは、貯金と投資の根本的な違いを理解することです。

銀行預金などの貯金は、基本的に預けたお金(元本)が保証されていますが、投資には元本保証がありません

つまり、投資したお金が増える可能性がある一方で、経済状況の変化などによっては、投資したお金が減ってしまう「リスク」があるのです。このリスクを正しく理解することが、投資を始める上での第一歩となります。

また、高校生が投資を始める際には、後述するように親権者の同意や未成年者向けの証券口座の開設が必要になる点も知っておきましょう。(参考:日本証券業協会「未成年でも株を買えますか?」

3.2 投資のメリット:お金を増やすチャンスと学び(収益性・資産形成・金融教育)

リスクがある一方で、投資には大きな魅力やメリットもあります。高校生のうちから投資に関心を持つことには、次のような良い点があります。

  1. 収益性:お金を増やすチャンス
    投資の最大のメリットは、貯金の利息よりも大きなリターン(収益)が期待できる点です。例えば、企業の成長とともに株価が上昇したり、投資信託の基準価額が上がったりすることで、資産を増やすことができます。また、物価が上昇するインフレ局面では、現金の価値は相対的に下がってしまいますが、投資を通じて資産を増やすことで、インフレによる資産価値の目減りをカバーできる可能性もあります。さらに、「複利効果」といって、投資で得た利益を再投資することで、利益がさらなる利益を生み、雪だるま式に資産が増えていく効果も期待できます。これは、時間を味方につけられる若い世代にとって特に有利な点です。
  2. 資産形成:将来の目標達成をサポート
    大学進学の費用、留学資金、趣味にかけるお金、将来の独立資金など、あなたにも様々な夢や目標があるでしょう。投資は、これらの長期的な目標達成に向けた資産形成の有効な手段となり得ます。アルバイト代やお小遣いの一部を、将来のために少額からでも投資に回すことで、時間をかけて資産を育てていくことができます。
  3. 金融教育:経済や社会を学ぶ機会
    投資を始めると、自然と経済のニュースや社会の動きに関心を持つようになります。「どんな企業が成長しているのか?」「世の中では何が注目されているのか?」といった視点で情報収集する習慣が身につきます。企業の業績や財務状況を調べたり、様々な情報を比較検討したりするプロセスを通じて、情報リテラシーや判断力、論理的思考力が養われるでしょう。これは、社会に出てからも役立つ重要なスキルであり、生きた金融教育・経済教育になります。(参考:金融庁 高校生のための金融リテラシー講座)

3.3 投資のデメリットとリスク:注意すべきポイント(元本割れリスク・親の同意・税金)

投資にはメリットがある一方で、必ず知っておかなければならないデメリットやリスクも存在します。

これらを十分に理解し、対策を考えることが重要です。

最大のデメリットは「元本割れリスク」です。

これは、投資した金額よりも資産価値が下がり、結果的に損をしてしまう可能性があることを意味します。なぜ元本割れが起こるのか、主なリスクの種類を見てみましょう。

リスクの種類内容具体例
価格変動リスク投資した金融商品の価格が変動するリスク株価が景気や企業業績の影響で上下する、為替レートの変動で外貨建て資産の価値が変わる
信用リスク投資先の企業や国などの財政状況が悪化するリスク株式を発行している会社が倒産して株の価値がほぼゼロになる、債券の発行元が利払いや元本返済ができなくなる(デフォルト)
流動性リスク売りたい時にすぐに売れない、または不利な価格でしか売れないリスク買い手が少ない株式や不動産など、換金しにくい資産

これらのリスクがあるため、投資は必ず余裕資金(なくなっても生活に困らないお金)で行うことが鉄則です。

生活費や近い将来に使う予定のあるお金を投資に回すのは避けましょう。

また、高校生が投資を始める際には、特有の注意点もあります。

  • 親権者の同意と未成年口座:高校生(未成年者)が自分名義で証券口座を開設するには、原則として親権者(保護者)の同意が必要です。金融機関によっては、親権者もその金融機関に口座を持っていることが条件の場合もあります。手続きは金融機関ごとに異なるため、事前に確認が必要です。
  • 税金:投資で利益(売却益や配当金など)が出た場合、原則としてその利益に対して約20%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかります。ただし、「NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)」という税制優遇制度を活用すれば、一定の投資額までであれば、得られた利益に税金がかかりません。2024年からは新しいNISA制度が始まり、非課税で投資できる期間や金額が拡大されました。高校生でも利用できる場合がありますが、年齢制限や口座開設の条件などを確認しましょう。(参考:金融庁 NISA特設ウェブサイト
  • 手数料:株式や投資信託などを売買する際には、金融機関に手数料を支払う必要がある場合があります。手数料の体系は金融機関や商品によって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
  • 知識と時間:投資で成果を出すためには、ある程度の知識が必要です。また、投資先の情報を調べたり、市場の動向をチェックしたりするために、時間や手間がかかることもあります。よくわからないまま投資を始めてしまうと、思わぬ失敗につながる可能性もあります。

これらのデメリットやリスクを理解した上で、それでも投資に挑戦してみたいと考えるかどうかが、大切な判断ポイントになります。

4. 徹底比較!貯金と投資、どっちが自分に合ってる?

貯金と投資、基本的な違いは分かったけど、「じゃあ、自分はどっちを選べばいいの?」と迷っている人も多いはず。

ここでは、いくつかのポイントから貯金と投資を比較して、あなたがどちらを優先すべきか、あるいはどう組み合わせるのが良いか、考えるヒントを探っていきましょう。

大切なのは、どちらか一方が絶対に正解というわけではないということです。

あなたの今の状況や将来の目標、そしてお金に対する考え方によって、最適な選択は変わってきます。

4.1 リスクとリターン:どちらを重視する?

お金を扱う上で必ずついて回るのが「リスク」と「リターン」の関係です。

一般的に、大きなリターン(利益)を期待できるものほど、大きなリスク(損失の可能性)も伴います

逆に、リスクが低いものは、期待できるリターンも小さくなる傾向があります。

貯金は、銀行が破綻しない限り元本が保証されるものが多く(預金保険制度により1金融機関あたり元本1,000万円までとその利息が保護されます)、リスクは非常に低いと言えます。

しかし、その分リターン、つまり利息はごくわずかです。インフレ(物価上昇)が進むと、お金の価値が実質的に目減りしてしまう「インフレリスク」がある点には注意が必要です。

一方、投資は、株式や投資信託などの値上がりや配当金によって、貯金よりも大きなリターンが期待できる可能性があります。

しかし、価格変動により元本割れ、つまり投資したお金が減ってしまうリスクがあります。

どんな投資にもリスクはつきものであり、その度合いは投資対象によって大きく異なります。

投資を始める前に、どのようなリスクがあるのかをしっかり理解しておくことが重要です。金融庁のウェブサイトでも、投資のリスクについて分かりやすく解説されています。

高校生のあなたは、まだ社会人として収入を得るまで時間があります。

これは、長期的な視点で資産形成を考えられるというメリットにもなります。

少額からでも投資を経験し、リスクとの付き合い方を学ぶ時間があるとも言えます。

4.2 安全性 vs 収益性:お金を守るか、増やすか

「安全性」はお金を確実に守りたいというニーズに応えるものです。

近い将来に使う予定が決まっているお金(例えば、大学の入学金や運転免許の取得費用など)は、安全性を最優先し、すぐに引き出せる貯金で確保しておくのが賢明です。

「収益性」はお金を積極的に増やしたいというニーズに応えるものです。

当面使う予定のない余裕資金があり、将来のために少しでもお金を増やしたいと考えるなら、投資も選択肢に入ってきます。

ただし、収益性を追求するということは、それ相応のリスクを受け入れる覚悟が必要になります。

「絶対に損はしたくない!」という気持ちが強いなら、まずは貯金から始めるのが安心でしょう。

「少しリスクを取っても、お金に働いてもらう経験をしてみたい」と感じるなら、投資についてさらに学んでみる価値があります。

4.3 流動性:すぐ使えるお金はどっち?

「流動性」とは、お金が必要になったときに、どれだけすぐに現金として使えるか、という度合いを示します。

急な出費に対応できるかどうかは、流動性の高さにかかっています

普通預金などの貯金は、ATMや窓口ですぐに引き出すことができるため、流動性が非常に高いのが特徴です。

コンビニのATMなどでも手軽に利用できるため、日常生活で必要な資金を確保しておくのに適しています。

投資の場合、株式や投資信託などは、売却して現金化するまでに数日かかるのが一般的です。

また、市場の状況によっては、自分が売りたいタイミングで希望する価格で売れない可能性もあります。

そのため、投資はすぐに使う予定のない、余裕資金で行うのが原則とされています。

以下の表で、貯金と投資の特徴を整理してみましょう。

比較項目貯金(普通預金など)投資(株式、投資信託など)
リスク低い(インフレリスクはある)あり(元本割れリスクなど、種類による)
リターン(期待値)低い(利息はわずか)期待できる(ただし不確実)
安全性高い(預金保険制度あり)低い(元本保証なしが基本)
収益性低い期待できる可能性がある
流動性高い(すぐに引き出せる)低い(現金化に時間がかかる、価格変動リスクあり)

この比較を見ると、貯金と投資にはそれぞれ一長一短があることがわかります。

どちらか一方だけを選ぶのではなく、それぞれの特性を理解した上で、自分の目的や状況に合わせて使い分ける、あるいは組み合わせることが大切です。

5. 自分に合った選択をするためのヒント

貯金と投資、それぞれの特徴がわかってきたところで、次は「自分にとってどちらが良いのか、どう組み合わせるのがベストなのか」を考えていきましょう。

絶対的な正解はありません。大切なのは、自分の状況や将来の目標に合わせて、納得できる選択をすることです。

ここでは、そのための具体的なヒントをいくつかご紹介します。

5.1 将来の目標設定:何のためにお金を貯める・増やす?

まず考えてほしいのが、「何のためにお金を使いたいのか」という具体的な目標です。

目標がはっきりすれば、貯金と投資のどちらが適しているか、いつまでにいくら必要かが見えてきます。

例えば、こんな目標が考えられますね。

  • 短期的な目標(1年以内など):欲しいゲームや服を買う、友達との旅行費用、スマートフォンの買い替え
  • 中期的な目標(数年後):大学や専門学校の入学金・学費の一部、留学費用、運転免許の取得費用
  • 長期的な目標(5年以上先):将来の独立資金、趣味への大きな投資、まだ漠然としているけれど将来への備え

目標達成までの期間が短いほど、安全性・確実性が高い「貯金」が向いています。

すぐに使う予定のお金をリスクにさらすわけにはいきませんよね。

一方、大学進学費用やさらに先の将来のためなど、目標達成まで時間的な余裕がある場合は、「投資」でお金を育てていく選択肢も考えられます。

時間を味方につけることで、複利の効果も期待しやすくなります。

まずは、自分のやりたいこと、なりたい姿を想像して、目標を書き出してみることから始めましょう。

5.2 収入源(バイト代)とどう向き合うか:予算管理のすすめ

高校生の主な収入源は、アルバイト代やお小遣いでしょう。

限られた収入の中で、貯金や投資を無理なく続けるためには、「お金の流れを把握し、計画的に使うこと」、つまり予算管理が不可欠です。

難しく考える必要はありません。まずは簡単なことから始めてみましょう。

  1. 収入を把握する:毎月いくら入ってくるのか(バイト代、お小遣いなど)を正確に知る。
  2. 支出を記録する:何にいくら使ったのかを記録する。スマホアプリやノートを活用すると便利です。
  3. 予算を立てる:「食費」「交通費」「趣味・娯楽費」「貯金・投資」など、項目ごとに使う上限額を決める。

特におすすめなのが、収入があったら、まず貯金や投資に回す分を先に取り分けてしまう「先取り貯蓄・投資」という考え方です。

残ったお金でやりくりする習慣をつければ、着実にお金を貯めたり、投資に回したりすることができます。

金融庁のウェブサイトでも、家計管理の重要性について解説されています。参考にしてみるのも良いでしょう。

5.3 どこまでリスクを取れる?自分のリスク許容度を知ろう

投資を考える上で非常に重要なのが、「自分がどれくらいのリスクを受け入れられるか」を知ること、つまり「リスク許容度」の把握です。

投資には元本割れのリスクが伴います。つまり、投資したお金が減ってしまう可能性があるということです。

もし投資したお金が減ってしまった場合、どの程度までなら精神的・経済的に耐えられますか?

リスク許容度は、人それぞれ異なります。以下の要素によって変わってきます。

  • 年齢:若いほど、損失を取り戻すための時間が長くあります。
  • 収入・資産状況:収入が多く、他に十分な貯金があれば、相対的にリスクを取りやすくなります。
  • 投資の目的と期間:長期的な目的であれば、短期的な価格変動に一喜一憂せず、リスクを取りやすくなります。
  • 性格:心配性な人はリスクを低めに、楽観的な人はリスクを高めに見積もりがちです。
  • 投資経験:経験が少ないうちは、少額から始めるのが無難です。

高校生の場合、基本的には「なくなっても生活に困らない余裕資金」の範囲内で考えることが大前提です。

アルバイト代の全額を投資に回すようなことは絶対に避けましょう。

「もし投資したお金が半分になったら、夜眠れなくなるかも…」と感じるなら、リスク許容度は低いと言えます。

まずは貯金を中心に考え、投資をするとしてもごく少額にとどめるのが良いでしょう。

逆に、「長期的に見て増える可能性があるなら、一時的な値下がりは気にしない」と考えられるなら、少しリスクを取って投資に挑戦してみることも可能です。

自分の性格やお金の状況を冷静に見つめ、無理のない範囲で判断することが大切です。

5.4 貯金と投資のいいとこ取り!組み合わせる方法も(少額投資・積立投資)

「貯金も大事だけど、投資にも興味がある…」そんなあなたは、貯金と投資を組み合わせることを考えてみましょう。

それぞれのメリットを活かすことで、よりバランスの取れた資産形成を目指せます。

特に高校生におすすめなのが、以下の方法です。

方法特徴メリット注意点
少額投資数百円~数千円といった少ない金額から始められる投資。ポイントを使った投資や、1株から株を買えるサービスなどがある。・お小遣いやバイト代の一部で気軽に始めやすい
・投資の経験を積むことができる
・失敗しても損失が限定的
・利益も少額になりやすい
・利用するサービスによっては手数料がかかる場合がある
・親の同意が必要な場合が多い
積立投資毎月決まった金額を、決まった日に自動的に投資していく方法。(例:投資信託の積立など)・購入タイミングを悩まなくてよい
・時間分散により価格変動リスクを抑えやすい(ドルコスト平均法)
・長期的な資産形成に向いている
・すぐに大きな利益は期待できない
・18歳以上でないと利用できない制度(例:つみたてNISA)がある
・親の同意が必要な場合が多い

まずは、生活費の3ヶ月~半年分程度の「生活防衛資金」を貯金で確保することを目標にしましょう。

これは、急な出費や万が一の事態に備えるためのお金です。この貯金が確保できたら、余裕資金の一部を使って、少額から投資を試してみるのがおすすめです。

例えば、「毎月のお小遣いから1,000円だけポイント投資をしてみる」「バイト代から毎月3,000円を貯金し、別に1,000円を積立投資に回してみる」といった形です。

積立投資の考え方については、以下の金融庁のページも参考になります。

大切なのは、無理のない範囲で、自分に合ったペースで続けることです。貯金と投資を上手に組み合わせて、将来に向けた準備を始めてみましょう。

6. まとめ:将来のために今からできること

貯金と投資、どちらを選ぶべきか悩むのは自然なことです。

大切なのは、それぞれの役割を理解すること。貯金は目標達成や万が一の備えとして安心を与えてくれます。

一方、投資は将来のためにお金を増やす可能性があり、社会を学ぶ良い機会にもなります。

どちらか一方ではなく、まずは少額からでも貯金を始めたり、投資について学んだりすることが、将来の資産形成と金融リテラシー向上への第一歩です。

自分に合ったお金との付き合い方を見つけ、賢く未来に備えましょう。

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