「投資を始めたいけれど、税金が難しそうで…」。そんな高校生の不安を解消するために、この記事では
・投資で得た利益にかかる税金の種類と計算方法
・確定申告が必要になるケース
・扶養控除の「48万円の壁」
・NISAの活用ポイント
・親から資金援助を受けるときの贈与税を順番にやさしく解説します。基本を押さえて、安心して投資デビューしましょう!
1. 投資デビュー!でも…税金って高校生にも関係あるの?
投資に興味を持つ高校生が増えていますよね!将来のために少しでもお金を増やしたい、そんな風に考えるのは素晴らしいことです。
でも、「投資」と聞いて気になるのが「税金」のこと。難しそうで、なんだか自分には関係ないと思っている人もいるかもしれません。
実は、高校生でも投資で利益が出たら税金を支払う必要があるケースがあります。
もちろん、少額の利益であれば税金がかからない場合もありますが、基本的なルールは知っておくことが大切です。
この章では、投資で得た利益にかかる税金について、高校生にも分かりやすく解説していきます。
具体的には、株や投資信託などで利益が出た場合、「所得税」と「住民税」という2種類の税金がかかる可能性があります。
また、利益の金額や投資の種類、口座の種類によっては、確定申告が必要になるケースもあります。難しそうに聞こえるかもしれませんが、一つずつ見ていけば大丈夫です。
税金の仕組みを理解して、賢く投資を始めましょう!
例えば、株式投資で10万円の利益が出た場合、約2万円の税金がかかる可能性があります。(所得税15.315%、住民税5%) 国税庁:No.1410 株式等の譲渡所得
また、親の扶養に入っている高校生の場合、投資で得た利益が年間48万円を超えると扶養から外れてしまう可能性があります。
扶養から外れると、親の税金が増えたり、健康保険や国民年金の支払いが発生したりするなど、家計全体に影響が出ることがあります。なので、投資を始める前に、税金についてしっかり理解しておくことが重要です。
ポイント
1) 利益が出れば高校生でも課税対象。
2) 利益が少額なら税金ゼロのケースも。
3) 親の扶養控除に影響する可能性がある。
たとえば株式を売って10万円の利益が出た場合、約2万円(20.315%)が自動で源泉徴収されるのが一般的です(証券会社で特定口座〈源泉徴収あり〉を選択している場合)。
2. まずは基本!投資で得た利益にかかる税金の種類
投資で利益が出たら、税金を納める必要があります。
高校生でも例外ではありません。投資によって得られる利益には主に2つの種類があり、それぞれ異なる税金がかかります。
2.1 どんな利益に税金がかかる?売却益と配当金
投資で得られる利益には、大きく分けて「売却益」と「配当金」の2種類があります。
売却益とは、株や投資信託などを売却した際に、購入時よりも価格が上昇していた場合に得られる利益のことです。例えば、10万円で購入した株を12万円で売却した場合、2万円が売却益となります。
配当金とは、企業が株主に対して利益の一部を分配するお金のことです。保有している株数に応じて受け取ることができます。配当金は、企業の業績などによって変動します。
これらの利益には、所得税と住民税がかかります。どちらも、1年間(1月1日~12月31日)に得た利益の合計金額に応じて計算されます。
2.2 税率はどれくらい?所得税と住民税の計算
売却益と配当金にかかる所得税と住民税の税率は、基本的に一律20.315%(所得税15.315%、住民税5%)です。ただし、特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合は、証券会社が自動的に税金を源泉徴収してくれるため、確定申告は不要です(後述)。
具体的な計算式は以下の通りです。
税金の種類 | 計算式 |
---|---|
所得税 | 課税対象額 × 15.315% |
住民税 | 課税対象額 × 5% |
例えば、年間の売却益と配当金の合計が10万円だった場合、所得税は15,315円、住民税は5,000円となり、合計で20,315円の税金を納めることになります。なお、所得税には、所得控除や税額控除が適用される場合があります。
詳しくは国税庁のウェブサイトをご覧ください。
3. 税金の払い方は?投資口座の種類と確定申告
投資で得た利益にかかる税金は、投資口座の種類によって支払い方法が異なります。
大きく分けて「特定口座(源泉徴収あり)」「特定口座(源泉徴収なし)」「一般口座」の3種類があり、それぞれ確定申告の必要性も変わってきます。
3.1 「特定口座(源泉徴収あり)」なら基本おまかせ
特定口座(源泉徴収あり)は、証券会社が売却益や配当金にかかる税金を自動的に計算し、源泉徴収してくれる便利な口座です。確定申告は基本的に不要なので、投資初心者や手間をかけたくない高校生におすすめです。
ただし、他の所得と合わせて確定申告が必要な場合や、複数の証券会社で特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合は、確定申告が必要になるケースもあります。
3.2 「特定口座(源泉徴収なし)」と「一般口座」は?
特定口座(源泉徴収なし)と一般口座では、自分で確定申告を行い、税金を納付する必要があります。
年間の取引を記録し、損益を計算して申告書を作成しなければなりません。確定申告の手続きは複雑に感じるかもしれませんが、国税庁のウェブサイトなどで詳しい情報が提供されています。
口座の種類 | 源泉徴収 | 確定申告 |
---|---|---|
特定口座(源泉徴収あり) | あり | 基本不要(特定のケースを除く) |
特定口座(源泉徴収なし) | なし | 必要 |
一般口座 | なし | 必要 |
特定口座(源泉徴収なし)と一般口座の違いは、証券会社が年間の取引報告書を作成してくれるかどうかです。
特定口座では証券会社が作成した報告書を利用して確定申告を行うことができますが、一般口座の場合は自分で取引記録をまとめる必要があります。
特定口座(源泉徴収あり)
・証券会社が計算・納税まで代行。
・基本は確定申告不要。
特定口座(源泉徴収なし)/一般口座
・自分で損益を計算し確定申告。
・年20万円を超える利益があるときは要注意。
高校生でも下記のときは確定申告が必要
・アルバイト収入などと合わせて年間所得が48万円を超え、源泉徴収がない利益がある。
・複数社に特定口座を開き、損益通算したい。
・今年出た損失を翌年以降に繰り越したい。
3.3 高校生でも確定申告が必要になるケースとは?
高校生でも以下のようなケースでは確定申告が必要になります。
- 特定口座(源泉徴収あり)であっても、他の所得(アルバイトなど)と合わせて年間所得が一定額を超える場合
- 複数の証券会社で特定口座(源泉徴収あり)を利用しており、証券会社間で損益通算を行う場合
- 特定口座(源泉徴収なし)や一般口座で投資を行っている場合
- 損失が出ており、翌年以降に損益通算をしたい場合
確定申告について詳しく知りたい場合は、国税庁のウェブサイトを参照してください。
4. 要注意!投資の利益が親の扶養控除に影響する?
高校生が投資で利益を出すと、親の扶養控除に影響する可能性があります。
扶養控除とは、扶養している家族がいる場合に、所得税や住民税の負担を軽減するための制度です。扶養親族の所得が一定額を超えると、扶養控除を受けられなくなるため注意が必要です。
4.1 「48万円の壁」とは?扶養から外れる所得基準
よく耳にする「48万円の壁」とは、扶養親族の所得が48万円を超えると親の扶養控除を受けられなくなる基準のことです。正確には、以下の所得の合計額が48万円以下である必要があります。
所得の種類 | 金額 |
---|---|
給与所得 | 給与収入 - 給与所得控除 |
事業所得 | 事業収入 - 必要経費 |
雑所得(公的年金等以外) | 収入金額 - 必要経費 |
配当所得 | 収入金額 |
譲渡所得 | 収入金額 |
投資で得た利益は、主に譲渡所得や配当所得に該当します。これらの所得が48万円を超えると、親の扶養控除の対象から外れてしまう可能性があります。
ただし、給与収入のみの場合で、所得金額が103万円以下であれば、親の扶養控除の対象となるケースが多いです。これは、給与所得には給与所得控除があるためです。詳しくは国税庁のウェブサイトをご確認ください。
4.2 扶養から外れるとどうなる?親子で知っておきたい注意点
扶養から外れると、親は扶養控除を受けられなくなり、所得税と住民税の負担が増えます。一方、高校生自身も所得税と住民税の納税義務が発生します。また、健康保険や国民年金についても、親の扶養から外れ、自身で加入する必要が生じるケースもあります。
具体的には以下のような影響があります。
- 親:所得税・住民税の増加
- 高校生本人:所得税・住民税の納税義務発生、健康保険・国民年金の変更の可能性
扶養から外れることによる影響は、家族全体の収入や支出に影響を与える可能性があります。
投資を始める前に、親子でよく話し合い、理解しておくことが大切です。具体的な金額や手続きについては、国税庁や厚生労働省のウェブサイトなどを参照ください。
5. お得な制度を活用!NISAで賢く非課税投資
投資で得た利益は課税対象となりますが、NISA(少額投資非課税制度)を活用すれば、一定の金額まで非課税で投資することができます。
高校生でもNISAを利用できるのか、そのメリットや注意点、ジュニアNISAとの違いなどを詳しく見ていきましょう。
5.1 高校生も使える?新NISAの対象年齢と概要
2024年1月から始まる新NISAは、誰でも利用できるわけではありません。
利用するためには、日本に住んでいて納税者番号を持っていることが条件となります。年齢制限はありませんので、高校生でも納税者番号があれば利用可能です。
ただし、未成年の方は親権者の同意が必要です。
新NISAには、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類の投資枠があります。年間の非課税投資限度額は以下の通りです。
投資枠 | 年間投資限度額 | 通算投資限度額 | 非課税保有期間 |
---|---|---|---|
つみたて投資枠 | 120万円 | 1,200万円 | 無期限 |
成長投資枠 | 240万円 | 1,200万円 | 無期限 |
5.2 NISAを使うメリットと注意点
NISAの最大のメリットは、投資で得た利益が非課税になることです。
通常、株式や投資信託の売却益や配当金には約20%の税金がかかりますが、NISA口座内で得た利益は非課税となります。これにより、投資効率を高めることができます。
注意点としては、非課税で保有できる期間があります。新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠ともに無期限で非課税保有が可能となりました。
また、NISA口座で損失が出た場合、損益通算ができない点にも注意が必要です。他の投資で得た利益と損失を相殺することはできません。
5.3 (参考)ジュニアNISAについて
ジュニアNISAは、0歳から19歳までの子どもを対象とした非課税投資制度です。
2023年末で新規の口座開設は終了しています。
すでにジュニアNISA口座を持っている場合は、2023年分の投資枠は利用できますが、2024年以降は新NISAへの移行手続きが必要となります。
引用元:金融庁:ジュニアNISAの概要
6. 投資資金はどこから?親からの援助と贈与税
投資を始めるには資金が必要です。
高校生の場合、アルバイトなどで得た収入を使うこともできますが、親からの援助を受けるケースも多いでしょう。親から資金援助を受ける場合は、贈与税について理解しておくことが重要です。
6.1 親から投資資金をもらう場合の基本
親からお金をもらう場合、贈与税がかかる可能性があります。贈与税とは、年間110万円を超える財産をもらった場合に、もらった人(受贈者)が支払う税金です。110万円までは基礎控除として非課税となります。
例えば、親から150万円の投資資金をもらった場合、150万円 - 110万円 = 40万円に贈与税がかかります。
ただし、贈与税の計算は累進課税方式で、金額に応じて税率が変わります。
・年間110万円までは非課税(暦年課税の基礎控除)。
・父と母から各110万円ずつ=合計220万円まで非課税。
・教育資金なら別の非課税枠(最大1,000万円)が使える場合も。
詳しくは国税庁のウェブサイトで確認できます。
6.2 知っておきたい「年間110万円」の基礎控除
年間110万円の基礎控除は、暦年(1月1日から12月31日)で計算されます。つまり、1年間に複数回贈与を受けても、合計金額が110万円以下であれば贈与税はかかりません。
この基礎控除は、贈与者1人につき受贈者1人に対して適用されます。 つまり、父と母からそれぞれ110万円ずつ、合計220万円の贈与を受けても、贈与税はかかりません。
贈与者 | 贈与額 | 基礎控除 | 課税対象額 |
---|---|---|---|
父 | 110万円 | 110万円 | 0円 |
母 | 110万円 | 110万円 | 0円 |
合計 | 220万円 | - | 0円 |
ただし、教育資金や結婚・子育て資金の一括贈与など、特定の目的のための贈与には、より高額な非課税枠が設けられている場合があります。 これらの制度を活用することで、より効率的に資金援助を受けることができます。詳しくは国税庁のウェブサイトなどで確認しましょう。
7. まとめ:高校生が投資と税金で押さえておくべきポイント
高校生でも投資で得た利益には税金がかかる場合があります。
売却益や配当金などの利益は所得税と住民税の対象となり、特定口座(源泉徴収あり)以外では確定申告が必要になるケースもあります。
年間の利益が48万円を超えると親の扶養控除から外れる可能性があり、親子の負担増につながるため注意が必要です。
未成年でも利用可能なNISAを活用すれば、一定の投資枠内で非課税で投資できます。
親から投資資金の援助を受ける場合は贈与税の基礎控除についても理解しておきましょう。
投資を始める前に、税金に関する基本的な知識を身につけておくことが大切です。